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8月講座

≪林泉よこみち企画―本企画は林泉協会の例会ではありません

〜栗林公園「小普陀」の発見+水墨画見立ての庭~

 古来より格式のある庭園では、「九山八海」のテーマが多かった。今回、「栗林公園」の「小普陀」が新たに見直され、従来部分的に理解してきたことが全体的に把握できるようになりました。次に、水墨画が日本庭園に与えた影響について、足利義満・雪舟等楊・織田信長・狩野元信・相阿弥の庭園について、実証いたします。

 講師  中田勝康 ⽒

 栗林公園内の「小普陀」は、世親によって記された「倶舎論」の「九山八海」を反映した奇跡の庭である。これをテーマとした庭園は、平城宮の「東院」に始まり、毛越寺、天龍寺、金閣寺、萬福寺、旧北畠氏館跡、旧久留島家庭園などの系譜の源淵をそのまま形にした貴重な庭園である。その源流は遠くインド南端に発し、中国の舟山諸島の補陀山を経由して、日本の和歌山の那智日光(補陀落渡海)や日光中禅寺にまで伝わる。これらの伝播経路を俯瞰的に見ると、達磨・法顕・三蔵法師・遣唐使・ザビエル・鉄砲伝来の経路と一致する。即ち、それはシルクロードである。

 庭園で観音の霊場を表しているのは、多治見市の永保寺、鎌倉市の瑞泉寺である。霊場での観音の画像では、大徳寺の「観音猿鶴図」や建長寺の「白衣観音図」がある。

 今回の栗林公園の「小普陀」の発見は、上記に示した庭園の系譜が「九山八海」に由来していることが示された。これは、写真による「九山八海」の証明と、三次元デジタル測定により実証されました。

 次に、「水墨画が庭園の造形に影響を与えた」ことを具体的に実証したいと思います。

 庭園の立体造形化は、夢窓国師や足利義満により一応完成していた。というのも、西芳寺の龍門瀑は傾斜地に作られ、金閣寺では水墨画に倣って峩々たる巌を芦原島の護岸に作った。これらの造形は結果的に立体造形になったのである。

 雪舟は「四季山水図」(山水長巻・山水小巻)では、二次元の水墨画で遠方に小さな楼閣、山並みを暈して描き、更には奥まで続く小径や迫り出した岩盤による錯覚効果で三次元化した。一方、常栄寺庭園では平坦部に三次元地割造形を完成させて、水墨画の手法を観念と言えるほどまで高めた。なお、雪舟は中國水墨画の山岳造形を夏珪から学び、黄山・桂林・武陵源のように尖塔状に描いた。その手法は狩野派や三阿弥などに継承された。織田信長は岐阜城で張り出した巌を、鑿で弓なり状に穿ち、中国の水墨画状に実寸大で再現した。大仙院(相阿弥)や退蔵院(狩野元信)庭園は水墨画写しだ。

中田勝康

講演日時  令和6年8月4日(日) 午後13時00分開場 13時30分開始 終了15時30分
場所  京都市国際交流会館 3階 研修室
 【京都市左京区粟田口鳥居町2番地の1】講演  

金地院庭園⾒学  16時00分~16時30分 (入館料別途)

会費 1000円
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